新・駅長日誌Ⅱ

…さて北陸本線の旧線区間を探る自転車旅ですが、またトンネルが
出てきました。

同区間のトンネルは総じて古い物ですが、全て自転車用として長さ
や標準的な通過時間が記してあり、火災報知器も装備されています。



このトンネルを抜けた辺りが西名立と言う信号場の跡らしいんですが
ソレらしい表記もナイので詳しくは分かりません。

付近には展望台を兼ねた休憩所が作られていました。
並走する国道８号線からも、ココまでなら登って来れるようです。

…この区間は基本的には単線だったワケですが、昭和30年代の終盤
頃に輸送量が増えて幾つかの信号場が新設されたようです。
しかし５年～７年程度の短期間で新線に切り替わってしまいました。

信号場の位置は資料で見た隣の駅からの凡その距離と、実際の地形
を見て推定してるワケですが、昔は列車の編成も長かったから最低
でも300ｍは必要でしょうね。



暫く行くと上越市から糸魚川市へ入ります。境界を示す看板が建った
自転車道の横に、古い煉瓦積みの橋台が残ってました。…要するに
実際の旧線は築堤の上にあり、少しズレてる事になりますか。

それでも狭路で保線係の人などが列車を退避する穴が設けられた
法面なんかも出てきます。…キロポストが残ってるような資料も
見た事があるんですが、当日は見落としてました。



勾配がキツくなって集落より高い位置に、コレまた橋台跡が残って
います。…自転車道は鉄道ではあり得ない急カーブでココを越えて
おり、旧線はガーター橋か何かで直進していたのでしょう。

ココから直線で結んだ位置にも橋台跡があり、脇にお寺と思われる
建物があります。線路があった位置の緑色の建物は保育園でした。
…普通に考えれば、隣のお寺が経営している物だと思われます。



そして現在の筒石駅の位置を示す看板が出てきました。斜坑入口
の看板は工事関係者向けの物でしょうか？…そして当たり前の話
ですが、この付近の地名も「筒石」と言います。

「岩＝大きな石を繰り抜いた筒」がトンネルだと考えれば、トンネル駅
としてピッタリな駅名だなと思ってたワケですが、元からの地名だと
すれば、昔はコノ辺に普通の地上駅として存在してた事になりますね。

でも駅を移設してあのような特殊な形状になる時、同じ事を思った人
は多かった筈でしょう。



元の筒石駅跡には石碑が建てられており、現在は農協の倉庫などが
ありました。常識的に考えれば駅舎は海の方向を向いてたでしょう。

そしてこの付近が自転車道の丁度真ん中になるようです。
上越市側にはなかったタイプの看板ですが、こう言う物は自治体が
変わると整備状況も違ってくるのですよ。

…双方の終点まで16kｍだから全長は32kｍか。普通に走れば２時間
程度の距離でしょうが私は色々と停まって見るので、ココまで３時間
ほど掛かっています。

現在の駅との位置関係は右の通り。地図は平坦にしか見えませんが
周知の通り筒石駅の駅舎は結構な山の上にあり、そこから延々と階段
を下ってホームに至る構造ですよね。

残りのコースを走るために体力を温存すべく、ココはカットしましょう。

※→次回に続く

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さて北陸本線の旧線区間を探る自転車旅ですが、続いて有間川駅
に到着しておりますクラ駅長です。

…しかしこの区間に関して、具体的に「〇〇線」と言う通称みたいな
名前はナイんでしょうか？

北陸本線も歴史のある路線だから随所に付け替え区間が存在する
ワケですが、今まで見てきたものは「柳ケ瀬線」とか「杉津線」とか
何かしら名前があったんで紹介しやすかったんですが。

…無理矢理考えるとしたら「頸城線」とか？まぁ今更ココで私が唱え
ても定着しないとは思いますけどね。てか「頸城鉄道」と紛らわしい？



同駅も昔と変わらない位置にあるから、新線と旧線が合流して再び
分かれる線形になってるんでしょう。…木造の駅舎には昭和21年の
建築である事を示す財産票が付いていました。

駅舎が国道より１段高い位置にあるので、車で入るには狭い駅前
ですが眺めはイイ所です。来る時に調べた結果、ココにも駅ノート
は存在しませんでした。

しかし沿線の紫陽花がキレイですね。流石に緯度の高い新潟県だけ
あって、当時はまだ梅雨入りしてなかったと思われます。いいお天気
ではあるものの、奈良より気温も低く走りやすい日でした。



…今更ながらにコース全体の案内看板が出てきましたね。まだ走り
出して1/4も来てないぐらいの地点でしょう。先は長いですよ。

旧線は忠実に海岸に沿って通っていますが、それでも急斜面な崖の
所は幾つかのトンネルを越える感じになっています。

右の画像を見て頂ければ一目瞭然ですが、ロックシェードやトンネル
の並び方がホントに鉄道そのものの風景じゃない？…コレが今回の
ベストショットです。むしろ線路がナイ方が不自然だわ。



そんなロックシェードを抜けて暫く行くと、鳥ヶ首岬に至ります。
ソレほど突き出た感じのナイ岬ですが、高台には灯台がありました。



この付近に旧線の名立駅があった事になっていますが、ソレらしい
痕跡は見当たりませんでした。…ネットで色々と調べるに、この付近
の廃線跡は建設会社らしき施設の敷地になっています。

自転車道は全てが廃線跡を転用した専用道と言うワケでもなく、時々
自動車の通行も可能な一般道が混じる事もあるんですよ。
線路に沿って集落があり、その中を通っていた旧街道なのでしょう。

現在の名立駅との位置関係は右の感じです。直線距離で1.5kmほど
離れてますかね。そして新しい駅の方に住宅地が形成されてるのが
分かります。…この手の変遷を探すのも、廃線跡巡りの楽しみですわ。



付近を流れる名立川の河口付近には「うみてらす名立」と言う観光
施設が作られています。付近には一般的なコンビニもありました。

…今回は廃線跡とは言っても並走する国道は現役の幹線道路で
あり、海岸に沿った町は過疎化する事も少ないので、飲食には困ら
なそさうで有り難いです。まだ昼食には早いけど。

河口を渡る自転車道の橋は、面影はナイものの鉄道時代と同じ場所
に掛かってる物だと思われます。

もう少し行くと糸魚川市に入ります。次はトンネル駅で有名な筒石の
地上時代の駅跡が出て来る筈ですよ。

※→次回に続く

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さて北陸本線の旧線区間を自転車で走る旅ですが、いよいよココ
から久比岐自転車歩行者道の始まりとなります。



大半が海岸線に沿った区間であり、海を眺めるにもイイ（泳げそう
にも思う）季節になってきましたね。この日は終始、磯の香りを感じ
ながら走っておりましたクラ駅長です。

…所で「久比岐」って何に由来する地名なのでしょう？

先日の「頸城鉄道」にも見られるように、この付近一帯…直江津の
関川を中心に広がる地域を「頸城平野」と言うんですが。考えるに
古語なのかも知れません。「飛鳥と明日香」みたいな違いと言うか。



まず最初は、郷津と言う駅の跡です。この区間も新線はトンネルに
なった所ですが、元の集落から極端に離れてしまうので、駅は移設
されず廃止になりました。

…そもそも海岸線と旧線区間に平行する国道８号線はそのまま
なので、地域輸送なら路線バスで代用が利くのでしょう。

陸地から100mほど突き出た岩礁の部分は海釣り公園のような施設
になっており、駅跡は概ねソレ用の駐車場として使われています。



暫く走ると現在の線路が海岸線に戻ってきます。現状で直江津から
１つ目の谷浜駅は、昔から変わってナイと思われました。

…泊まったホテルが直江津駅から近かったので、時々列車の音が
聞こえてたワケですが、長編成の「列車らしい列車の音」がするのは
貨物列車ぐらいの物なのが現状。些か淋しい物を感じます。



所でコノ久比岐自転車歩行者道にも公式の萌えキャラさんが存在
します。…久比岐凛さんと言うそうな。まぁ何でもカンでも。

ともあれココで国道を横断するための地下道が作られており、それ
を通って内陸側へ移りました。

ココから先に見えている半島は鳥ヶ首岬と言います。

…以前に関川夏央と言う人が書いたエッセイを読んだ事があるん
ですが、昭和40年の夏に当時15歳の関川氏が居住地の長岡から
西へ向かって自転車旅行した事が書いてあるのを覚えてました。

「地図で見れば鈍角すぎる岬も、実際に走ると結構な距離がある。」
みたいな事が書いてあります。

当時の事だと線路は旧線なので、ソレに沿った国道８号線を走った
のだと思われますが、昔は国道でも未舗装の悪路な所が多かった
ようです。…埃と排気ガスでカナリ苦労したそうな。



暫く行くとトンネルが出てきました。勿論コレも鉄道用の物をそのまま
転用した物でしょう。レンガ積みのポータルが時代を感じさせます。

トンネルを抜けると、単線の鉄道そのままの風景が広がってました。
昔はココを蒸気機関車牽引の列車が走ってた事でしょうが、容易に
想像出来る状況ですね。

…例によって「もう少し早く生まれたかったな」と思いつつ、自転車の
旅は続きます。

※→次回に続く

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