新・駅長日誌Ⅱ

観光列車、駅ノート、鉄道保存施設、
廃線跡と猫ヨシヨシ。…稀に木村。
毎日更新します。

亀の瀬トンネルを探る ③

2022/11/30(Wed)

さて亀の瀬地すべり資料室ですが、最後に今回の(自分の中での)
主目的である明治時代亀の瀬トンネルを見学して、報告を終える
事に致しますクラ駅長です。

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同トンネルへの入口は、公開されている7号排水トンネル
あると言う事で、その状況がまだ理解出来てないまま7号トンネル
前にやってきました。

まず見学用の入口から約20m進みました。ココまでは先程見た1号
トンネル似たような感じなんですが、その先に不自然に枝分かれ
してる箇所がありますね。

ココが明治期亀の瀬トンネル発見された現場なのだそうです。

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2本のトンネル斜めに交差するような状況になっています。ココで
入って来た方向を振り返ってみたのが左の画像ですよ。…分かり
やすいように文字を入れてみました。

付近に詳しい解説書きがあったので読んでみましょう。…平成20年
にコノ7号トンネルを掘ってる途中、偶然「何か」に当たったそうな。

想像するに崩落や埋没免れたトンネルなら、最初に煉瓦積みの
側壁が出てきて、ソレを崩すと空洞に当たったと言う感じかな?

昭和7年地すべりでは地面が約30m動いたとされ、亀の瀬
トンネル入口さえドコだか分からない状況になってたそうです。

詳しい見取り図が添えてありますね。コレによると排水トンネル
亀の瀬トンネルほぼ同じ高さに掘られており、ホントに上手い
具合いに掘り当てたものだと感心しました。

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上段の図によると、更に奥には大正時代複線化の際に掘られた
2本目のトンネルがある事になっています。まぁ何らかの調査は
行われてると思われますが、この先は公開されていません

…何事もそぅだと思うんですが、工事の途中遺跡などが発見され
ると単純に遅れが生じるから、担当者さんにしてみれば嬉しいような
面倒なような、複雑な気持ちだったかも知れませんね。

ともあれ発見された亀の瀬トンネル一部が保存される事になり、
見学者を入れても安全なように補修が行われたそうな。

そして現在に至り、一昨年この一帯日本遺産に指定された事
を機会に、定期的に公開されてると言うお話です。

線路バラストは撤去され、マットが敷かれています。…発見時の
話では「子供が石を積んで遊んだような跡があった」となってるので
地元の人しか知らないような出入口があったのかも知れません。

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蒸気機関車時代のトンネルなので、やはり天井部分にはが付着
しています。

煉瓦の積み方大きな物小さな物交互に重ねる、イギリス式
方法だそうな。…単なるデザインなのか、強度的な話になるのか
までは調べてませんが。

保存公開されてるのは、先程の交差点から奈良方向約50m
区間です。その先は行き止まりになってますが、崩落の危険性
より酸欠の恐れを理由にしてる辺りが物々しいですね。

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なかなかに貴重な遺産を見る事が出来ましたし、しかも自分の身近
な所にあったと言う事に驚いた1日でした。

…取り敢えず一般的トンネル跡のように「真っ当な入口から入る」
と思ってたのを裏切られたのが最も新鮮だったと言うかね。

最後付近の地名の由来にもなってる「亀岩」を見て帰りましょう。

がそうなんですが、私が撮った角度では「亀」と名付けてしまう
事に微妙な違和感を感じます。ちゃんと河原に居りて右下の画像
反対側から見ると、甲羅から首を出してる亀に見えるようですが。

次回は、コレまた土曜日ですが宿泊要しない駅ノート数合わせ
として訪れた、岡山県下津井電鉄の報告に移ります。




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No.1340 鉄道保存施設を探る

亀の瀬トンネルを探る ②

2022/11/29(Tue)

そんな感じで訪れた亀の瀬地すべり資料室ですが、屋内の展示物
を見て大雑把な予備知識が分かった所で、屋外の公開施設を見に
行く事にしましたクラ駅長です。

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…最初に簡単な絵地図を貰いました。この中で公開されてるのは
1号7号排水トンネル、そして資料館に近い15号集水井工
3箇所のようです。近い順に見て行く事にしましょう。

ちなみに7号トンネルに、亀の瀬トンネルがあるそうな。

…ついでの事に「自分は土木技術より鉄道に興味があって来た」
と言う事を伝えて、トンネル以外廃線跡についても訊ねてみたん
ですが、地すべり災害90年近く前の事であり、地形が完全に
変わるほどの規模だったので、今では全く残ってナイようです。

資料室前の道路から大和川の対岸を見ると、現在大和路線
鉄橋が見えます。…新大阪からおおさか東線経由で奈良へ来る
321系直通快速と言うレアな物が通りましたよ。

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まずは1号排水トンネルです。1号と言うだけあって事業の最初
完成した物なのでしょう。昭和44年ですか。…ソレにしては新しく
も見えますが、後にリフォームされてるのかも知れません。

ポータル部分にはをデザインしたレリーフがありました。

ココから近い大和川の河原「亀岩」と呼ばれる大きな岩があり、
それが地名の由来だと思われるのと「この岩が動く地すべりが
起こる」と言う民間伝承があるようです。

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排水トンネル地盤の最下層強固な部分に掘られており、この
地区には同じようなトンネルが何本も存在し、総延長7,000m
超えてるそうな。

が降ると地面地表に近い柔らかめの地盤に掘られた取水口
からココに雨水が集められ、マトメて大和川放出されます。
地下水を溜めない事で地盤が緩むのを防いでいるのでしょう。

そして随所に地層のサンプルが見えるようなトレンチがありました。
地質の事はよく分かりませんが、ココからでも僅かながら水が染み
出してるのが確認出来ます。

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そしてコレが地表に開けられた取水井工(せいこう)です。…当然
金網が張ってありますが、何とかして内部を撮ってみました。

地すべり指定地域にはコノような井戸54基、またコレの支線
相当する取水ボーリング工無数にあり、ここに集まった雨水
排水トンネルに集まる仕組みになってるようです。

…しかしアレですね。トンネルの出口道路や駐車場にあって直接
大和川繋がってるようには見えないんですが、大雨の時はココ
から大量の水が出てくると言う事なんでしょうか?

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ではいよいよ、亀の瀬トンネルへ至る7号排水トンネルに入って
みましょう。資料室を基準にすると2段ぐらい低い位置にあり、付近
施設の駐車場になっています。

…対岸の大和路線には「今年度一杯引退する」と何年も言われ
続けてる201系が走っています。短編成化して播但線加古川線
使えばイイと思うんですが、昨今は改造費の方が高いのか?

向かって右側が、公開されている7号排水トンネルです。
排水トンネルドノようにして、鉄道のトンネル繋がったのか?
内部が楽しみですね。

→次回に続く



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No.1339 鉄道保存施設を探る

亀の瀬トンネルを探る ①

2022/11/28(Mon)

さて新たな報告です。

仕事のシフトの流れ自分の連休土日に被ると、ホテルの混雑
などを考えて遠出をする気失せるので、単発ネタとして近所の
鉄道遺跡?を探りに行く事にしましたクラ駅長です。

JR大和路線河内堅上三郷の間に、地元の通称で「亀の瀬」
呼ばれる地点があるんですよ。上記の2駅の間に府県境があり、
河内堅上大阪府三郷奈良県になります。

大和川の北側に沿った三室山の南側斜面では、昔から大規模な
地すべり災害が何度も発生しており、自治体国交省対策工事
を行なっているエリアがあるんですよ。

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ココに「亀の瀬地すべり資料室」と言う資料館があり、対策工事
排水トンネル資料を公開してると言う事で見学に行ってきました。

大和川と平行してる国道25号線からすぐの所で、隣の河内堅上駅
には駅ノートで何度か行ってるものの、ココは初めてです。

関係者専用管理道路である旨が書かれたを渡るんですが、
地元の生活道路も兼ねてるので何の規制もありません。坂道を
登ると小規模な資料館がありました。…見学は無料のようです。

20221128c.JPG 20221128d.JPG

昔は不定期に公開されてたのが、令和2年に一連の地すべり対策
事業
日本遺産に指定されたのを機会に、日曜祝日などに予約なし
でも見学出来るようになったとの事です(平日要予約)。

時間を切ってボランティアと思われるおじさんが案内してくれる見学
ツアーもあるんですが、中途半端なタイミングで行ったのでセルフで
回る事にしましょう。

…「鉄道絡みのネタいつ出てくるんだ?」と言う所ですが、まずは
地すべり対策事業についての展示を見て行きます。

20221128e.JPG 20221128f.JPG

私も地理学的な事は専門ではナイので何となくしか分からない
ですが、この付近は昔から「滑りやすい」地質だったようで、最も
古い所では4万年ほど前地すべりの跡地層から伺えるそうな。

近代以前の記録は特に残ってナイものの、明治以降で大規模な
地すべり3回ほど起こっています。なので昭和30年代に入ると
国の主導大規模な対策工事が行われるようになりました。

具体的には大雨が降った時に雨水を逃がすための排水トンネル
掘るとか、太い杭を何本も打ち込んで地盤を強化するとかだそうな。

…その甲斐があって、現在では大規模な地すべり殆ど起きなく
なりました。しかし現在でもセンサーカメラなどで24時間の監視
が為されており、警戒は続けられてるようです。

20221128g.JPG 20221128h.JPG

ではココからようやく鉄道の話になります。この付近の国鉄関西本線
明治25年に開通したもので、現在のルートとは違い大和川の北岸
亀の瀬トンネルと言う約700mのトンネルで抜けていました。

大正13年にはもぅ1本を追加して複線化されたワケですが、昭和7年
地すべり災害2本のトンネル完全に埋まってしまいます。

亀の瀬トンネル完全に崩壊して復旧は無理だとされ、大和川の
南岸を通る現在のルートに切り替えられました。…だから鉄橋で
大和川を2度も渡る複雑な線形になってしまったと言う事なのか。

それが平成20年になり新たに排水トンネルを掘ってる時、埋まってた
明治時代のトンネル偶然に発見され、一部がほぼ完全な形で出て
きたらしいんです。

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…そのトンネル「折角だから保存しよう」と言う事になり、資料室
の公開に合わせて内部へも入れるようになったと言う事だそうな。

資料館内には発掘されたレールやトンネルに使われていた煉瓦など
も展示されていました。

また右の写真は直接関係ナイかも知れませんが、古い時代国道
工事の様子だと思われます。トロッコを牽くのが小型の蒸気機関車
所に時代を感じますね。

屋内の資料室コノぐらいの感じです。…何とか予備知識の勉強
出来た所で、実際のトンネルなどを見に行く事にしましょう。

→次回に続く



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No.1338 鉄道保存施設を探る