新・駅長日誌Ⅱ

観光列車、駅ノート、鉄道保存施設、
廃線跡と猫ヨシヨシ。…稀に木村。
毎日更新します。

古い地図を買いました

2023/04/24(Mon)

…久し振りにこのカテゴリー記事を書く事になりました。
鉄道部屋整備してる中で、室内の掲示物として古い鉄道地図
欲しくなり、ヤフオクで探してみましたクラ駅長です。

イメージとしては客車内の妻面に貼ってある、時刻表の索引地図
みたいな物で、昭和30年代辺りのが良かったんですが、そう都合
よく出物があるワケもなく、代わりに見つけたのが昭和15年発行
「参拝の栞(しおり)」と言う物です。

…コレがなかなか面白そうなのと、送料込みで900円程度と言う安価
だったので、即決で買ってみました。

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昭和15年と言うのは、神武天皇橿原宮で即位して2,600年目
相当すると言われた「皇紀二千六百年」に相当し、国家神道
時代だから各地で大規模な祝賀行事が行われた年のようです。

このパンフレットもそんな時代の中、関西各地の神社への参詣
旅行向けに作られた物なのでしょう。…一枚物で、大きさはA3と
B4の間ぐらいの物です。

コレが1/16に折り畳んだ状態がデフォルトのようです。表紙に相当
する部分に奈良県の橿原神宮の写真があり、片面が各地の神社
観光名所などの簡単な解説書きになっていました。

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そして反対側地図ですね。「近畿交通図」と言うタイトルで鉄道や
バスの路線図が載ってますが、近鉄電車の路線図みたいな感じで
紀伊半島伊勢付近を誇張したイビツな形の物です。

…そのままでは見難い掲示も難しいので、まずデジタルスキャナ
で読み込んで、紙の変色などを補正した物を作りました。

昭和15年だから現在の路線図とはカナリ違うんですが、見てると
なかなか面白いので細部を小分けして幾つか紹介してみましょう。

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まず地元の奈良県からですが、国鉄線後の近鉄に相当する各種
私鉄線は概ね今と変わらない感じです。このパンフレットの表紙
にもなってた橿原神宮は、殊更大きな文字で書かれてますね。

時代を感じるのは新法隆寺~天理天理軽便鉄道新王寺~
桜井大和鉄道畝傍~橿原神宮小房線大阪電気軌道
などでしょうか?

天理軽便鉄道大和鉄道は、双方とも戦争末期不要不急路線
として半分が休止され、復活する事なく現在に至っています。

八木駅付近短絡線京伊特急が走る北側のは存在せず南側
のみが確認出来ます。当時は上本町から大阪線経由橿原神宮前
まで走る列車が存在したんですよ。

橿原神宮と並んで人気が高かったと思われるのが、伊勢神宮の
周辺でしょう。大正~昭和戦前頃は鉄道網が今より充実しています。

現在の近鉄大阪線~山田線に相当する区間とはに、名古屋線
江戸橋で分岐して新松阪を経て大神宮前と言う駅までの路線が
あり、コレが当時は伊勢電気鉄道と言う社名の路線でした。

また宇治山田周辺には「神都電車」と呼ばれた路面電車や、朝熊山
へ登るケーブルカーなどもあり、コレまた正確に描かれています。

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大阪~和歌山にかけてを見ると、まだ大阪環状線存在しません
東半分「城東線」のみが描かれています(西成線ナイのか?)。

現在の阪和線はまだ「阪和電気鉄道」と言う私鉄だったので、他の
私鉄線と同じ赤色で描かれています。…同路線はコノ昭和15年12月
南海電鉄買収され、昭和19年国有化されました。

和歌山から西紀伊水道付近で紫色に塗られた部分「軍機保護
施行地域/要塞地帯」と書いてあります。また欄外でコノ地図
自体が由良要塞司令部検閲済みであるとされており、やはり
「時代だな」と感じる所でした。

紀勢本線はコノ当時、尾鷲~新宮未開通バス連絡の扱いに
なっています。

また割愛しましたが西側の江住~串本未開通です。
現在のように紀伊半島を一周する形が出来るのは、昭和30年代
入ってからなのですよ。

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最後に京阪間~琵琶湖方面ですが、現在の阪急京都線「新京阪
電車」と言う京阪系列の会社になってたり、愛宕山電車とケーブル
カーも描いてあったり。琵琶湖周辺は、やはり湖西線なく代わり
近江今津まで江若鉄道が載ってます。

この地域は個人的に不案内ではありますが、話としてしか知らない
路線図があると、一気に分かりやすくなるのが面白い所だと
思いました。

枚方の「菊人形」名所に描いてあるのは笑えますが。アレは
当時とて秋の限られた期間だけの物だったでしょうに。

今後の展開としてこの地図鉄道部屋に掲示するのと、古い時刻表
幾つか入手してネタを拾ってみる事にしたいと思ってます。

…恐らくかなりマニアックな話になりますが、適当にお楽しみに

→次回に続く



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No.1485 乗り鉄タイムトラベル